ノコギリクワガタの採集に最適な時期は、7月から8月にかけてですが、近年は6月末から捕獲することが可能です。この時期は地域差があるため、全国の各地域ごとで若干のずれがあります。北海道から東北、そして本州、更には関東、中部、関西、そして九州や四国、沖縄におけるノコギリクワガタの採集の適期について、時間帯別に朝・昼・夜という捕獲のチャンスを詳細に解説いたします。
ノコギリクワガタの採集に適した時期について
以下は、ノコギリクワガタを採集するのに最適な時期を地域ごとにまとめた表です。
取れる時期 | ベストな時期 | |
---|---|---|
北海道 | 7月後半~8月後半 | 8月前半 |
東北 | 7月後半~8月後半 | 8月前半 |
関東 | 7月中旬~8月後半 | 7月後半~8月前半 |
中部 | 7月前半~8月後半 | 7月後半~8月前半 |
関西 | 7月前半~8月後半 | 7月後半~8月前半 |
中国 | 7月前半~8月後半 | 7月後半~8月前半 |
四国 | 6月後半~8月後半 | 7月前半~8月前半 |
九州 | 6月後半~8月後半 | 7月前半~8月前半 |
沖縄 | 6月後半~9月後半 | 7月前半~8月前半 |
ノコギリクワガタは日本全国で7月から8月が主な採集時期となり、9月にはほぼ見かけることがなくなります。地域によって若干の差はあるものの、この表が大まかな目安となります。ただし、最近では6月の終わり頃から活動が活発化する傾向にあり、年々変動していることを留意する必要があります。
沖縄の場合、比較的暖かい気候により、クワガタが一年を通じて発見されることはありますが、ノコギリクワガタはそれほど一般的ではないようです。山林地帯ではヒラタクワガタやコクワガタがよく見られますが、ノコギリクワガタの姿は稀です。
次に、ノコギリクワガタの生態を踏まえた採集のコツ、つまり気温や天候、月の満ち欠けを考慮した最適な採集日を決定する方法について、詳しく解説いたします。
ノコギリクワガタが多く捕獲できる日の3つのポイント
ノコギリクワガタ | 取れる条件 |
---|---|
気温 | 25~30度付近 |
天候 | 晴れ>雨 |
風 | 風の弱い日が◎ |
ノコギリクワガタが幼虫から成虫に変わり活動を始める時期は、「気温」によって大きく左右されます。従来、全国的に「7月から8月がノコギリクワガタを捕獲できるシーズン」とされていましたが、近年の猛暑や異常気象の影響で、捕獲のタイミングにずれが見られるようになっています。
ノコギリクワガタは「お住まいの地域で気温が25度を超える日が3~7日間続く頃」に、捕獲できる時期が訪れます。例えば、最初の表によれば「関東地方では7月中旬から8月後半が捕獲のベストタイミング」と示されていますが、暑さが厳しい年には「6月後半から」と通常より早く出現することがあります。
そのほか、ノコギリクワガタは雨や風の強い日は活動を控え、高い木の上でやり過ごす傾向にあります。従って、捕獲を試みるには「雨や風のある日よりも、晴れた日」が向いています。さらに、「雨上がりの蒸し暑い日は食事を求めて樹液を吸いにくる」という習性があるため、コナラやクヌギの木周辺での目撃情報が多いです。
ここまで、ノコギリクワガタの全国的な生息時期と最適な捕獲日をご紹介しました。次に、「ノコギリクワガタが多く捕獲できるのは朝のどの時刻か?夜はいつまで?想定される日付は?」や、「夜、水辺のノコギリクワガタが確認できなくなる原因と、捕獲のコツ」について詳しく解説していきます。
ノコギリクワガタの捕獲適刻について
時間 | ノコギリクワガタの出現時間帯 |
---|---|
明け方 | ◎:5時30分~6時00分 |
朝 | 〇:6時00分~7時30分 |
午前中 | ×:多くは見られない |
昼 | △:15時00分~16時00分 |
夕方 | ×:16時30分以降 |
朝から昼、そして夕方にかけてのノコギリクワガタの捕獲可能時間を一覧表にまとめました。一番多く見られるのは「多数存在する時間帯:5時30分~6時00分」の早朝です。朝7時30分までなら捕獲のチャンスがありますが、日光が昇り始めてからは、特に多く見られる傾向にあります。
夜行性の昆虫であるノコギリクワガタは、日中に外出すると鳥などの捕食者に見つかりやすくなるため、日中は木の中に隠れています。そのため、朝7時30分以降、10時00分になるとほぼ姿を見せなくなるのです。
場合によっては、人が少ない公園や森林では昼間の「15時00分~16時00分頃」にもノコギリクワガタが存在することがあります。しかしながら、朝の時間帯に比べると、その数は格段に少ないです。
夜間のノコギリクワガタ捕獲可能時間帯
夜間、特に街の灯りや電灯の下では、ノコギリクワガタが容易に観察できる時間帯があります。夜19時頃から徐々に光を求めるこれらの昆虫は、最も活発な時間帯が20時から21時30分です。その後は、徐々に姿を消し始めます。
捕獲タイミングの詳細については下記の表をご覧ください。
ノコギリクワガタが捕獲可能な時間帯 | |
---|---|
夕方以降 | △:19:00~20:00 |
夜 | ◎:20:00~21:30 |
夜 | 〇:21:30~22:00 |
夜 | だんだんいなくなる |
23時頃にはノコギリクワガタの姿を見ることはほぼなくなります。子供たちとの捕獲体験を考える場合、夜10時以降は避けた方が良いでしょう。特に低学年のお子様であれば、夜更かしは望ましくないため、夜9時までを目安に活動を終えるスケジュールが適切です。
新月の夜はノコギリクワガタが集う日
ノコギリクワガタは、夜間に活動する昆虫で、強い光(特に紫外線)に引き付けられる性質があります。言い換えると、街灯の光よりも強く輝いている満月の夜は、逆にノコギリクワガタを見つけることが非常に困難な状況とされています。
これは個人的な見解になりますが、ノコギリクワガタ、特にピンノコと呼ばれるタイプは、夜に捕まえやすい印象があります。一方で、角が特徴的な水牛タイプのノコギリクワガタは、クワガタ用の樹木近辺にまれに見られます。
ノコギリクワガタ 取れる条件
月の状態 | 取れる条件 |
---|---|
下弦の月 | △:取れ始める |
新月 | ◎:いっぱいいる |
上弦の月 | △:段々と取れなくなる |
満月 | ×:見つからない |
月の満ち欠けは約15日の周期で変化します。それは「下弦の月」から「新月」、「上弦の月」を経て「満月」へと移行し、その後は再び「下弦の月」へと回帰する循環を繰り返します。満月に近づくにつれて月は大きく円くなり、その光は強くなります。つまり、月の光が弱まる時こそ、ノコギリクワガタが街灯に集まりやすい習性を持っているのです。
月の捕獲情報
年 | 下弦
期待できる |
新月
期待大 |
上弦
期待薄い |
満月
条件が悪い |
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2022年 | 7/20 | 7/29 | 8/5 | 8/12 |
2023年 | 7/10 | 7/18 | 7/26 | 8/2 |
2024年 | 7/28 | 8/4 | 8/13 | 8/20 |
2025年 | 7/18 | 7/25 | 8/1 | 8/9 |
2026年 | 7/8 | 7/14 | 7/21 | 7/29 |
新月や満月の日程を把握しておくことで、ノコギリクワガタを採取するのに最適な日を見極めることができます。満月の日が完全にダメというわけではありませんが、捕まえにくい可能性が高く、期待をあまり持たない方が良いでしょう。
数年間に渡る新月と満月のスケジュールをまとめましたので、夜間にノコギリクワガタの採取を考えている方は、これを参考にしてはいかがでしょうか。ただし、8月後半の新月は、ノコギリクワガタが寿命を迎える時期でもあるため、この時期の新月は別の理由からおすすめしにくい状況となります。
LED街灯とノコギリクワガタ:なぜ集まりにくいのか?
夜間、街灯を頼りにノコギリクワガタを探し求める際、近年、障害となる問題が浮上しています。虫が光に引き寄せられると認識されがちですが、厳密に言えば、「紫外線を含む光」に集まるのが実態です。特にノコギリクワガタの捕獲において、街灯がLED式に変わることが難点となっています。
昔、父親が少年だった頃、「ここは街灯の下でよくクワガタが捕れた」と記憶に残っています。しかし、今ではその場所に子供を連れて行っても、クワガタを全く発見できません。このような状況に遭遇した場合、街灯がLEDに置き換わっていることが多いです。LEDライトは紫外線をほとんど含まない光を放ちます。
LEDライトは明るく、省エネで寿命が長いという利点があります。日常生活では虫を引きつけない「紫外線を少なく含む光」であるため、夜間の昆虫採集においては、「ノコギリクワガタが集まらなくなる」という新たな問題が発生します。生活の利便性を優先する話では、夜のノコギリクワガタ探しには「従来の電球型、非LEDに対応した街灯の下」が適していることを留意しましょう。