家庭訪問の際、玄関先での対応についてのマナーはどのようなものでしょうか。
以前は、家庭訪問といえば、先生が子供たちの勉強部屋を確認したり、家庭での過ごし方について話を聞いたりするのが一般的でした。
しかし、近年では、帰宅経路や家の所在地を確認するだけで家庭訪問を終える学校が増えてきています。
さらに、家庭訪問の案内に「玄関先での確認だけなので、お茶出しなどは不要です」と書かれている学校も増えています。
しかし、一般的なマナーとして本当に部屋に通さなくても良いのでしょうか。狭い玄関での立ち話は失礼にあたらないでしょうか。
我が家は家庭の都合で2回転校し、3つの小学校を経験しましたが、学校によって家庭訪問の内容は異なりました。
今回は、我が家の経験を踏まえて、玄関先での対応についてお話しします。
家庭訪問のマナー:玄関先ではどう対応すべき?
学校側が明確に「玄関先での確認」と指定している場合、「部屋にお通しした方が良いのでは?」や「お茶くらい出すべきかしら?」といった社交辞令を考える必要はありません。
現在では、プライバシーやスケジュール管理など、先生が気を配らなければならない点が増えており、非常に大変な状況です。
また、学校運営上で家庭訪問に関して決まりがある場合、教師はそれを遵守しなければなりません。
特に公立校の場合、教師は公務員という立場にあるため、特定の家庭から何かを受け取ることは問題となります。
部屋に上がったり、お茶をいただいたりする行為は問題になりかねないのです。
小学校の先生をしている親戚に聞いたところ、その点を理解して行動しているそうです。
しかし、実際には社交辞令でお茶などを用意されることが多く、教師側は困ってしまうことがあるようです。
ここで、母親と先生が家庭訪問についてどう考えているか、主な意見を挙げて違いを確認していきましょう。
【母親の考え】
- 社交辞令で書いてあるだけで、「どうぞ」と促せば部屋に上がるかもしれない。
- あちこち訪問しているため、喉が渇いてお茶を飲みたいかもしれない。
- 実はどこの家でもお茶を出しているかもしれない。
- 気が利かない母親と思われたくない。
- 玄関が狭いので、部屋に通した方が話しやすい。
【教師(学校側)の考え】
- 部屋に通されると予定が遅れる可能性が高い。
- 部屋に通されると要望を多く言われるケースがあるため、上がりたくない。
- 部屋に通されると帰るタイミングを計るのが難しい。
- 予定がずれると次以降の家庭に迷惑がかかるため、焦る。
- 飲み物をいただくとトイレに行きたくなる可能性がある。
- 飲み過ぎて汗だくになると、みっともない。
- ある家庭で飲み物をいただくと、「あちらの家では飲んだけどこちらでは飲まなかった」と広まり、不公平だと思われる懸念がある。
- 学校運営での決まり事なので遵守しなければならない。
母親は…私も実はそうなのですが、他人の目が気になるんですよね~(;’∀’)。先生に常識人だと思われたいし、他のお母さんと比べて劣りたくないのです。
一方、教師としては、学校行事の一環として家庭訪問を行うため、無難にこなすことを考える必要があります。
もちろん先生も「大事なお子さんの担任になるので1年間よろしくお願いします」という気持ちはありますが、5~10分程度の予定の中で込み入った話をするのは難しいのです。
そのため、そつなく終えることを念頭に動いているのです。
そのため、家庭訪問の目的が「住んでいる場所の確認」に過ぎない場合、家庭としてはあまり気を遣わない方がマナーとして適切でしょう。
もし子供のことで心配事がある場合は、逆に学校に出向いて先生に相談する方が良いですね。
家庭訪問で玄関が狭い場合はどうすべき?
先生と「玄関先で話す」という場合に最も気になるのが、立ち話になるのかどうかですよね。
そして、立ち話の場合、自分は靴を脱いで高い位置に立ち、先生は靴を履いたままで低い位置に立つことになります。
そうなると、自分の方が頭が高く、偉そうに見えてしまうのでは?という懸念が生じます。
マナー上はどうなのだろう?と気にするかもしれませんが、応接室のような広いスペースではないのですから、できる範囲で先生に礼を尽くせば良いのです。
先生としては5~10分程度の時間で全ての用事を済ませる必要があり、単刀直入に話して終わりにしたいのです。
それでもやっぱり玄関は狭すぎる…と悩むのであれば、「玄関だと狭くて申し訳ないので、どうぞ上がってください」と一言声を掛ければ良いのです。
もし先生が「後の予定が押してしまっているので…」と断られたら、それで問題ありません。
実際に声を掛けてみると、一度自分の気持ちを伝えることで、たとえ断られたとしても納得でき、気分がスッキリします。
そして、「では、狭くてすみませんが…」と言いながら立ち話をすれば良いのです。
狭い玄関といっても様々な状況が考えられますが、次の4つのパターンが考えられます。
(1) 自分はその場で座る&先生は立ったまま
この方法だと先生の方が頭が上になるので、自分は気になりません。
ただし、玄関タイルと玄関マットの高低差が少ないと、先生がかなり高くなり、逆に話しにくい可能性もあります。
(2) 自分はその場で座る&先生に座布団を用意する
玄関マットの高低差が少ない場合、先生が立ったままだと話しづらいため、先生にも座ってもらう方が良いでしょう。
その場合、座布団を用意しておきましょう。
(3) 自分も先生も、その場で立ったまま
この方法だと自分の方が頭が高くなる可能性がありますが、実際にはそこまで気にする先生は少ないでしょうし、狭くて座れないならこの方法でも問題ないと思います。
(4) 自分が靴を履いて出てドアが閉まらないよう押さえる&先生は玄関外で立ったまま
本当に狭い玄関の場合、この方法になるかもしれません。
我が家ではこのパターンが多いです。
家が狭いせいか、先生も遠慮してドアの中に入らないんですよね。
家庭訪問で玄関の立ち話は失礼じゃないの?
先生に玄関内へ入ってもらえないと、非常に失礼ではないかと心配になるかもしれませんが、最初に一言謝っておけば大丈夫ですし、ほとんどの先生は気にしないはずです。
それでも玄関での立ち話が失礼ではないかと心配な場合や、もっと好印象を与えたいと考える場合には、次のような方法もあります。
ペットボトルを手渡しつつ、「お茶も出せなかったので、よろしければ帰りにでもお召し上がりください」と言う。
学校の連絡帳に「今日はお忙しい中、家庭訪問に来てくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。」と一言書いて、翌日子供に提出させるのも良い方法です。
現在の家庭訪問の目的は、主に学校からの帰宅経路の確認などです。
そのため、立ち話でサッと済ませる方が先生にとっては都合が良いのです。
したがって、家庭での子供の性格や行動を確認するような深い内容が盛り込まれていない場合は、余計な気を遣わない方が良いと考えて大丈夫です。
家庭訪問で玄関の立ち話 我が家の事例
ちなみに、我が家は小学校を2回転校しているので、合計3つの学校で家庭訪問を経験していますが、学校によって対応が全く異なりました。
最初の小学校
最初の小学校は少し田舎だったためか、事前に配布されたプリントには「玄関先で済ませる」という話は一切なく、どう対応すれば良いのか気になっていました。
その年の担任は60歳近いベテランの女性の先生だったため、リビングまで上がり、しっかりと生活環境をチェックしました。
放課後の活動や親子でどのような話をしているか、趣味などについても話しました。
その日は我が家が最後の訪問先だったためか、本来は20分程度で終わるはずのところ、30分以上も話し込んだ記憶があります。
ただ、後日他のクラスのママ友に聞いたところ、玄関先で話を済ませたという人もいました。
どうやら学校だけでなく、先生によっても対応が異なるようです。
2校目の小学校
2つ目の学校は、県庁所在地のある市にありました。
ここでは、最初から「家庭訪問は生徒の帰宅環境確認が目的なので家の中には入らず玄関先のみとなる」という内容の学校プリントが配布され、実際にその通りに行われました。
この市は教育に関して厳しい保護者が多く、個人情報保護にも敏感なため、学校として非常にしっかりと対応しているという印象を受けました。
もしかしたら、1校目が緩すぎたため、そう感じたのかもしれません。
我が家の玄関は非常に狭かったため、先生方が遠慮したのではないかと少し恥ずかしく思っていましたが、後日クラスメイトのママ友に聞いたところ、一軒家でも玄関のドアの外で話をするだけで終了したという話でした。
3校目の小学校
現在通っている3つ目の学校は東京都内にありますが、家庭訪問については2校目と同様の対応です。さらに、配布されたプリントには以下のように具体的に記載されていました。
1年生 → 家庭訪問
2~6年生 → 地域訪問(玄関先で位置確認)、留守でも構わない
都会になるほど、玄関先で行う意図が明確に説明されている印象を受けました。
さいごに
「玄関先で」という場合、地域や学校、担任の性格によっても実際の対応は異なるでしょう。
ただ、1人あたり5〜10分という限られた時間ですし、プリントに明確な記載があれば、それに従って割り切って考えて良いと思います。
母親としては、1年間お願いする先生だから子供のことをよく見てほしい、気になる点も伝えておきたい…とあれこれ話したくなるかもしれませんが、家庭訪問ではあまり長くならないようにしましょう。
詳しい話や相談は、日を改めてアポを取って学校に出向く方がおすすめです。