将棋の主要タイトル戦の賞金構造、階級体系、及び永世称号に関する解説 | 木の葉ブログ

将棋の主要タイトル戦の賞金構造、階級体系、及び永世称号に関する解説

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将棋界で注目される藤井聡太氏は、史上最年少で名人位を獲得し、さらには史上初の八冠全制覇を成し遂げるという顕著な業績を達成しています。

一方、羽生善治氏も7つのタイトルで永世称号を手に入れ、2018年には国民栄誉賞を受賞しました。

本記事では、将棋のタイトル戦における階級や賞金の規模、そしてそれらを主催する団体、永世称号の授与基準について詳細にご紹介します。

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将棋界で注目される主要タイトル戦の紹介

将棋のプロプレーヤーが争う主なトーナメントは「棋戦」として知られており、八大タイトル戦だけでなく、朝日杯やNHK杯などの公式戦もこれに含まれます。

八大タイトル戦は特に重要で、竜王、名人、王位、王座、棋王、叡王、王将、棋聖の8つのタイトルがあります。

これらの戦いでは、タイトル保持者と挑戦者が五番勝負や七番勝負で対戦し、勝者がタイトルを獲得します。

タイトル保持者は一般に自身の名前にタイトルを付けて呼ばれることが多く、例えば「〇〇竜王」といった形式です。

竜王戦や名人戦では、ランキングに基づいて年に一度の昇降級が実施されるのが通例です。

叡王戦は2015年に一般棋戦として開始され、2017年には正式なタイトル戦として認定されました。これによって、叡王戦は八大タイトル戦中でも最新のタイトルとして位置づけられています。

竜王と名人、将棋界での特別な存在

将棋の世界では、竜王と名人のタイトルが他の8大タイトルとは一線を画して特別に扱われています。

これらのタイトルを持つ棋士は、他のタイトル保持者であっても、「竜王」や「名人」として特に称賛されることが一般的です。

昇段においても、竜王と名人のタイトルは格別の重みを持ち、竜王は1期保持で八段、2期で九段に昇段できます。

一方、名人は1期保持のみで直接九段への昇段が認められています。

他のタイトルでは、昇段が1期で七段、2期で八段、3期で九段に達するというプロセスを経ます。

また、日本将棋連盟が発行するアマチュアの段位認定書には、会長と共に竜王や名人のタイトル保持者が署名することが慣例となっています。

かつて将棋に「十段」というタイトルは存在していたのか?

囲碁界では「十段」という高位のタイトルがありますが、将棋にも同じようなタイトルが存在したことがあるのでしょうか?

事実、将棋界には1962年から1987年にかけて「十段」というタイトルが存在しており、読売新聞社が主催する十段戦を通じて競われていました。

しかし、1988年に十段戦は廃止され、代わりに竜王戦が新設されました。

その際、読売新聞社は竜王戦に名人戦を超える賞金を設定し、名人戦以上の序列を求めました。

この結果、竜王戦が将棋界の序列で最上位とされ、名人戦がそれに次ぐ位置に設定されることとなりました。

将棋タイトル戦一覧

タイトル 開始年度 開催時期 賞金額 対局数 主催
竜王 1988年 10月から12月 4320万円 7番勝負(先に4勝した方が勝者) 読売新聞社
名人 1935年 4月から6月 2000万円 7番勝負(先に4勝した方が勝者) 朝日新聞社、毎日新聞社
王位 1960年 7月から9月 1000万円 7番勝負(先に4勝した方が勝者) ブロック紙3社連合(北海道新聞社、中日新聞、西日本新聞)
王座 1983年 9月から10月 800万円 5番勝負(先に3勝した方が勝者) 日本経済新聞社
棋王 1975年 2月から3月 600万円 5番勝負(先に3勝した方が勝者) 共同通信社
叡王 2017年 4月から6月 300万円から600万円 5番勝負(先に3勝した方が勝者) 不二家
王将 1951年 1月から3月 300万円 7番勝負(先に4勝した方が勝者) スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社
棋聖 1962年 6月から7月 300万円 5番勝負(先に3勝した方が勝者) 産経新聞社

将棋の八大タイトル戦と関連する永世称号について

永世称号は、同一のタイトルを一定期間保持した棋士が、引退後もその称号を名乗ることが許される制度です。

以下に、各タイトルごとの永世称号の名称、獲得条件、そしてその称号を保持する棋士の一覧を示します。

タイトル名 永世称号名 獲得条件 永世称号資格保持者
竜王 永世竜王 連続5期または通算7期 渡辺明、羽生善治
名人 永世名人 通算5期 木村義雄、大山康晴、中原誠、谷川浩司、森内俊之、羽生善治
王位 永世王位 連続5期または通算10期 大山康晴、中原誠、羽生善治
王座 名誉王座 連続5期または通算10期 中原誠、羽生善治
棋王 永世棋王 連続5期 渡辺明、羽生善治
叡王 規定なし
王将 永世王将 通算10期 大山康晴、羽生善治
棋聖 永世棋聖 通算5期 羽生善治

これらの永世称号は、将棋界における棋士の最高の栄誉の一つであり、これを獲得することは棋士にとって非常に大きな評価となります。

まとめ

将棋の8大タイトル戦は、その伝統と権威により、プロ棋士にとって非常に名誉ある目標とされています。

特に、竜王と名人のタイトルは、他のタイトルと比べて特別な重要性を持ち、棋士の昇段や称号の使用において重要な位置を占めています。

1988年には、以前存在していた十段戦が竜王戦に置き換えられ、新設された竜王戦がタイトル戦の序列で最も高い位置に設定されました。

一方で、名人戦はその長い歴史と持つ重要性により、かつては最上位にあったことがあります。

各タイトル戦は、特定の開催時期や賞金額、対局数が設定されており、各種メディアによって主催される高額な賞金の競技が行われています。

これらのタイトルを獲得することが、棋士のキャリアにとって大きなメリットをもたらし、特に竜王や名人といったタイトルは最短で最高段位に到達する手段とされています。

さらに、永世称号は一定期間以上特定のタイトルを保持した棋士に与えられる特権で、引退後もその称号を名乗ることが許されています。

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