夜空を彩る大輪の花、響き渡る音の余韻——秋田の初秋を告げる風物詩「千秋花火」は、地元民にも観光客にも愛される人気イベントです。
美しい千秋公園を背景に、約3,000発もの花火が打ち上がるこの大会は、街の中心部で開催されることもあり、毎年多くの人で賑わいます。
でも、せっかくなら混雑を避けて、ゆったりと花火を楽しみたいと思いませんか?
この記事では、地元をよく知る筆者がとっておきの穴場スポット5選をご紹介。
混雑を回避しながら、千秋花火の迫力をしっかり味わえる絶景ポイントをお届けします。
快適な花火鑑賞を叶えるためのコツもあわせて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
千秋花火の魅力と楽しみ方
秋田市中心部を彩る千秋花火(せんしゅうはなび)は、地域の活気創出を目的に2014年から始まった花火大会です。
毎年9月中旬の開催で、約3,000発もの花火が秋田市の夜空に打ち上がり、夏の終わりを華やかに締めくくります。
会場はJR秋田駅から徒歩5分ほどのエリアなかいち周辺で、アクセス抜群の立地が魅力。
市内最大の飲食街・川反(かわばた)も近く、花火鑑賞後に秋田の夜を楽しむこともできます。
都会の真ん中で開催される花火大会ですが、夏の終盤という時期柄、夜は涼しく過ごしやすいのも嬉しいポイントです。
秋田市中心部で開催される千秋花火。
ビルの合間に打ち上がる花火は迫力満点で、都会と伝統が調和した独特の雰囲気を楽しめます。
観覧後は近隣の飲食街で秋田の郷土料理やお酒を楽しむのもおすすめです。
千秋花火当日は、昼間から地元の伝統芸能の披露やパレードなどイベントが盛りだくさんで、1日中お祭り気分を味わえます。
夜18時から約1時間にわたり花火ショーが展開し、フィナーレには秋田県民歌に合わせたナイアガラ花火が夜空を流れる滝のように輝きます。
有料観覧席も用意されていますが、無料の穴場スポットも存在します。
広小路通りは歩行者天国となり、東北電力やドーミーイン秋田前などが無料観覧エリアに指定されています。
中心市街地で打ち上げる花火のため、高い建物の屋上などからも鑑賞可能で、たとえば秋田キャッスルホテルの屋上ビアガーデンから眺める花火は特別な思い出になるでしょう。
千秋花火は地元ならではの温かい雰囲気と都会の利便性が融合した、秋田の隠れた名物花火大会です。
地元民が選ぶ!千秋花火の穴場スポット厳選5選
千秋花火をはじめ、秋田県内にはまだ全国的には知られていない穴場の花火スポットが点在しています。
ここからは、地元秋田の人々がおすすめする花火鑑賞スポット5選をご紹介します。
混雑を避けつつ、それぞれの土地ならではの風情を味わえる場所ばかりです。
1. 釜谷浜 – 静かな海辺で堪能する花火
秋田県山本郡三種町にある釜谷浜海水浴場は、日本海に面した静かな砂浜です。
毎年7月下旬、この浜辺では砂の芸術祭「サンドクラフト in みたね」が開催され、夜には海上花火ショーでフィナーレを飾ります。
ライトアップされた大小約20基の砂像と、約5000発の花火がコラボレーションする光景は幻想的で、開放的なビーチの雰囲気の中ゆったりと花火鑑賞ができます。
波音をBGMに、頭上に広がる色とりどりの花火を眺めれば、都会の喧騒を忘れて夏の夜を満喫できるでしょう。
釜谷浜は地元でも穴場スポットとして知られており、例年の観客数は約1~2万人程度と比較的少なめで混雑が緩やかなのも魅力です。
会場には有料席はなく入場無料なので、思い立ったらふらっと訪れることもできます。
アクセスは車がおすすめで、秋田自動車道の八竜ICから約10分と便利です。
公共交通機関の場合、JR森岳駅からタクシーで20分ほどかかります。
海岸というロケーション柄、夜は夏でも海風で肌寒く感じることがあるため、羽織るものを用意していくと安心です。
また、イベント当日は昼間からバナナボート体験やビーチバレー大会などアクティビティも充実しており、屋台の出店もあります。
夕方には地元グルメを味わいながら夕日を眺め、夜になったら砂浜にシートを敷いて寝転がりながら花火を見上げる——そんな贅沢で静かな時間を過ごせる釜谷浜は、夏の思い出作りにぴったりの穴場です。
2. 千秋公園 – アクセス抜群の観覧スポット
秋田市中心部に位置する千秋公園周辺も、千秋花火を楽しむ上で見逃せないスポットです。
千秋公園は久保田城跡の広大な公園で、昼間はお堀や樹木が美しい市民の憩いの場。
ここは打ち上げ会場にも隣接しており、花火大会当日は公園内が打ち上げ場所として立ち入り禁止になるものの、公園周辺から間近に花火を望むことができます。
特にお堀越しに見上げる花火は情緒があり、公園の緑と夜空のコントラストが秋田ならではの風情を演出します。
千秋公園周辺のアクセスの良さは抜群で、秋田駅から歩いてすぐの立地は観光客にも嬉しいポイントです。
花火大会当日は広小路通りが歩行者天国となり、道路上からゆったり鑑賞できます。
東北電力ビルや秋田オーディション会館(アトリオン)前あたりが無料観覧の穴場で、早めに行けば比較的良い場所を確保できるでしょう。
公園の木々が遮らない位置を見つければ、頭上に大輪の花が開く迫力を間近に感じられます。
周辺には当日限定で「千秋屋台村」と称した屋台ブースも開設され、自衛隊の出店などユニークな屋台も並びます。
飲食物は公園近くのコンビニや駅ビルで調達することもできるので、食べ歩きをしながら花火の時間を待つのも一興です。
都会の中心とは思えないスケールの花火を、アクセス良好な千秋公園周辺で気軽に楽しめるのは千秋花火ならでは。
秋田観光の締めくくりに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
3. 浅舞 – 地元ならではの楽しみ方
秋田県横手市平鹿町の浅舞(あさまい)地区では、毎年9月中旬の敬老の日直前の週末に「浅舞八幡神社祭典」が開催されます。
このお祭りは、豪華絢爛な飾り山車(やま)が笛や太鼓のお囃子に合わせて町内を巡行する伝統行事で、地域住民だけでなく県外からも観光客が訪れるほどの賑わいです。
浅舞花火は祭典初日(土曜日)の宵祭りで打ち上げられ、約800発の花火が夜空を彩ります。
山車の提灯やライトに照らされた街並みをバックに見る花火は、華やかさの中にどこか素朴さも感じられる、まさに地元ならではの楽しみ方です。
浅舞の花火は規模こそ大きくありませんが、その分人出も程よく、地元の方言が飛び交うアットホームな雰囲気を味わえるのが魅力です。
宵祭りの夜は露店やフリーマーケットも並び、焼きそばやかき氷など昔ながらの縁日のグルメを楽しみながら花火を待つ時間もまた格別でしょう。
周囲は住宅街ですので、道路沿いから見上げる花火は頭上に開くような迫力があります。
地元の子ども達の歓声を聞きつつ、ほのぼのと花火鑑賞できるのが浅舞の醍醐味です。
アクセスは車での来訪が便利で、秋田自動車道・横手ICから約20分、または湯沢横手道路・十文字ICから約10分ほどです。
公共交通ではJR奥羽本線の横手駅から車で20分、もしくは最寄りの醍醐駅・十文字駅から車で10分程度となります。
駅から路線バスは少ないため、タクシー利用かレンタカーがおすすめです。
なお、祭り最終日(日曜日)は花火はありませんが、昼間に子どもたちが山車を引く本祭りがあり、こちらも見応え充分です。
浅舞の花火と祭りは、規模は小さくとも心温まる秋田の郷土行事として、観光客にもぜひ体験していただきたい穴場スポットです。
4. 羽後町 – 穏やかな雰囲気での花火鑑賞
秋田県雄勝郡羽後町は、「西馬音内盆踊り(にしもないぼんおどり)」で有名な町ですが、その前夜にあたる毎年8月15日には五輪坂花火大会が行われていました。
会場となる五輪坂アルカディア公園は自然に囲まれた広場で、打ち上げ発数は約700発と小規模ながら、訪れる人出も約4,000人程度と少なく穏やかな雰囲気で楽しめる隠れた花火大会でした。
地元の家族連れやお年寄りが集い、芝生にシートを広げてゆったりと花火を眺める光景は、まさに田舎ならではの夏の一コマです。
大輪の花火が上がるたびに周囲から拍手や歓声が起こり、アットホームで温かい空気に包まれるのが羽後町の花火鑑賞の魅力でした。
残念ながら、羽後町の五輪坂花火大会は2023年を最後に一旦終了となってしまいました。
しかし、もし再開される機会があれば、ぜひ足を運んでみたいスポットです。
周辺には明かりが少なく、澄んだ夜空に花火がくっきり映えるため写真映えも抜群です。
都会の喧騒から離れ、虫の声を聞きながらゆったり花火を楽しむ体験は格別で、秋田の素朴な夏の良さを感じられるでしょう。
アクセスは車が中心で、JR湯沢駅からタクシーで約25分、または秋田自動車道・湯沢ICから車で約25分ほどです。
駐車場も会場に500台分が無料で用意されており、ドライブがてら訪れるのに適しています。
もしお盆期間中に羽後町を訪れるなら、16日~18日に開催される西馬音内盆踊りと合わせて計画を立てるのもおすすめです。
伝統的な盆踊りの幽玄な世界と、穏やかな花火大会の両方を味わえば、心に残る夏の旅になることでしょう。
5. 男鹿 – 特別な思い出が作れる絶景スポット
秋田県男鹿市で毎年8月14日に開催される男鹿日本海花火は、海辺で開催されるスケールの大きな花火大会です。
約1万発もの花火が夏の夜空と日本海を鮮やかに染め上げ、1時間半にわたるショー仕立てのプログラムはまさに圧巻。
音楽に合わせて打ち上がる花火や、全長500メートルにも及ぶワイドスターマイン、海上に仕掛けられたナイアガラ花火など見どころ満載で、観客を飽きさせません。
テーマに沿った演出もユニークで、たとえば2025年は「テレビの時間」をテーマに懐かしの番組音楽と花火のコラボが予定されています。
広い海を舞台に次々と展開する花火の光景は壮大で、ここでしか味わえない絶景スポットとして地元民も太鼓判を押すイベントです。
会場は男鹿市船川港のOGAマリンパークで、JR男鹿駅から徒歩10分というアクセスの良さも魅力です。
秋田駅から男鹿駅へは電車で約1時間ですので、観光客でも日帰りで十分楽しめます(臨時列車の運行がある年もあります)。
車の場合は秋田自動車道・昭和男鹿半島ICから約30分で、会場周辺には臨時の有料駐車場が用意されます。
観覧には協賛券(入場券)が必要で、大人一人2,000円の協賛金で入場できます(中学生以下は無料)。
大規模な花火大会ですが有料エリア制のおかげで場所取りの心配は少なく、広い芝生の上でゆったり観覧できます。
レジャーシートを持参して芝生に座れば、頭上いっぱいに広がる花火をのんびり楽しめるでしょう。
当日は会場に多数の露店が並び、地元名物の石焼き料理や海産物グルメ、冷たい生ビールなども味わえます。
夕暮れ時には日本海に沈む夕日を眺め、夜には漁火(いさりび)と花火が競演する光景も見られるかもしれません。
男鹿といえば鬼の伝説やナマハゲで知られる観光地でもありますから、日中は男鹿水族館GAOやなまはげ館を観光し、温泉に浸かってから花火を鑑賞するという贅沢なプランも実現可能です。
夏の男鹿半島で味わう花火大会は、旅のハイライトとして特別な思い出になること間違いなしです。
千秋花火を楽しむための事前準備
秋田の花火を存分に楽しむためには、事前の準備と情報収集が大切です。
日程や場所、アクセス方法を把握して計画的に行動すれば、当日をスムーズかつ快適に過ごせます。
また、各会場の特色に合わせた持ち物や心構えも用意しておきましょう。
以下に観覧席の予約情報・アクセス方法・飲食に関する情報をまとめましたので、参考にしてください。
観覧席予約・アクセス・飲食情報まとめ
- 観覧席の予約について:
千秋花火(秋田市)と男鹿日本海花火など、一部の大会では有料観覧席や入場券の事前購入制度があります。千秋花火ではローソンチケットで有料席を販売しており、4人掛けの席が8,000~10,000円程度で提供されています。男鹿日本海花火は協賛金2,000円で入場券を購入する方式で、中学生以下は無料です。人気の席は早めに売り切れることもあるため、公式情報をチェックして早めに予約しましょう。浅舞八幡神社祭典や釜谷浜の花火ショーは有料席がなく無料で観覧できますが、良い場所を確保するために早めの現地入りがおすすめです。 - アクセス方法について:都市部開催の千秋花火はJR秋田駅から徒歩圏内で、公共交通でのアクセスが非常に便利です。男鹿日本海花火はJR男鹿駅から徒歩10分で会場に行けるため電車利用がスムーズですが、臨時列車の時間に注意してください。一方、釜谷浜(三種町)や浅舞(横手市)、羽後町といった郊外の会場へは基本的に車移動が便利です。釜谷浜へは秋田道八竜ICから約10分、浅舞へは横手ICから約20分、羽後町五輪坂公園へは湯沢ICから約25分の距離です。公共交通を利用する場合、最寄り駅からタクシー移動になることが多いので、事前にタクシー会社の電話番号を調べておくと安心です。
イベント終了後は周辺道路の混雑が予想されるため、時間に余裕を持った行動を心がけましょう。
- 飲食情報と設備:花火大会の醍醐味の一つが屋台グルメです。千秋花火では会場近くに「千秋屋台村」が出現し、地元グルメやドリンクを購入できます。男鹿日本海花火でも多数の露店が並び、新鮮な海の幸やご当地名物を味わえます。浅舞八幡神社祭典の宵祭りでも昔ながらの屋台が出店し、金魚すくいやヨーヨー釣りに興じる子どもたちの姿も見られます。釜谷浜のサンドクラフト会場では日中から飲食ブースが営業し、海を眺めながらソフトクリームを楽しむこともできます。
なお、千秋花火は繁華街が近いので、観覧後に居酒屋やレストランで秋田名物(きりたんぽ鍋や比内地鶏料理など)を楽しむのも良いでしょう。
トイレに関しては、千秋花火では秋田県立美術館などの既存施設のトイレが利用可能。
他の会場でも仮設トイレが設置されますが、混雑する場合があるので早めに済ませておくか、長蛇の列には飲み物を片手に並ぶなど熱中症対策もお忘れなく。
観覧マナーと注意点
花火大会をみんなが気持ちよく楽しむために、観覧マナーと注意点にも気を配りましょう。
- 場所取り・観覧マナー:自由観覧エリアではシートを広げて場所取りをする際、周囲の迷惑とならない範囲に留めましょう。後から来た人の視界を塞がないよう、椅子や脚立の使用は控え、できるだけ座って鑑賞するのがマナーです。特にお子様連れの方はお子様を肩車すると周囲が見えなくなるため避けてください。周囲に高齢者や小さなお子さんがいる場合は、突然の大きな音に驚くこともあるので優しく声をかけてあげると良いでしょう。
- ゴミの持ち帰り:花火会場では飲食をするとゴミが出ますが、各自でゴミ袋を持参し、ゴミは必ず持ち帰るようにしましょう。美しい景色と地域の方々の厚意を大切にし、ポイ捨ては厳禁です。会場周辺の住民にとっても、ゴミのないきれいな状態でイベントが終わることが一番です。
- 禁止エリア・安全確保:打ち上げ地点周辺は危険防止のため立ち入り禁止区域が設定されています。係員の指示に従い、フェンスやロープの内側に無理に入らないようにしてください。また、川や海沿いの会場では決められた観覧区域から外れて暗い場所へ行くと大変危険です。夜間は足元が見えにくいので、懐中電灯やスマホのライトを活用しつつ行動しましょう。
- 交通と騒音配慮:車で来場する場合、指定の駐車場以外に無断駐車しないことが大切です。住宅街に駐車して住民の出入口を塞ぐことのないよう注意しましょう。帰り道は一斉に車が動くため渋滞します。焦らず譲り合い、安全運転でお帰りください。公共交通利用の場合も、深夜の駅や車内で騒がずマナーを守りましょう。
特に終電間際は混雑しますので、切符やICカードのチャージは事前に済ませてスムーズに移動してください。
- その他の注意点:花火鑑賞時は虫除け対策や防寒対策も忘れずに。夏とはいえ、海辺や高原では夜露で冷え込むことがあります。上着やブランケットを用意すると安心です。また、傘は周りの迷惑になるので、急な雨にはレインコートで対応しましょう。写真撮影をする方はフラッシュをOFFにし、三脚を使う際は通行の邪魔にならない場所で。
他の人の観覧を妨げない範囲で思い出を残してください。
まとめ:千秋花火を存分に楽しむ方法
秋田の「千秋花火」をはじめとする花火大会は、それぞれの土地の個性と魅力が詰まった夏のハイライトです。
観光客の皆様が存分に楽しむためには、事前準備と余裕ある行動、そしてマナー遵守が鍵となります。
今回ご紹介した釜谷浜、千秋公園、浅舞、羽後町、男鹿の5つのスポットはいずれも地元民がおすすめする隠れた名所です。
それぞれ穴場と言えるスポットであり、混雑を避けながらも迫力ある花火や温かな雰囲気を楽しめるでしょう。
ぜひ旅の予定にこれら秋田の花火大会を組み込んでみてください。
都会の中心で楽しむ花火から、海辺や田舎町でゆったり眺める花火まで、多彩な体験が皆さんを待っています。
準備万端で臨めば、きっと夏の夜空に咲く大輪の花火が特別な思い出となるはずです。
秋田の夜風を感じながら、美しい花火の数々を心ゆくまでご堪能ください。
皆様の花火旅が安全で思い出深いものとなりますように。