たけのこ料理を堪能するための第一歩として、適切なあく抜きが不可欠です。しかし、その手順を知らない方も多いかもしれません。この度は、基本的な米ぬかと鷹の爪を用いたあく抜き方法から始め、万が一、米ぬかをお持ちでない場合の代替法まで、幅広く紹介いたします。
なぜたけのこはあくを抜かなければいけないのでしょうか。この疑問にご説明を試みるとともに、あく抜き作業の時間短縮テクニック、またあく抜きに要する時間の目安もお伝えします。基礎知識から応用まで、たけのこのあく抜きに関する情報を網羅的にご解説いたします。
米ぬかと鷹の爪を使った筍のあく抜き法!所要時間は?
筍のあく抜きの基礎は、米ぬかと鷹の爪を使い、約1時間30分煮ることが一般的です。
筍の量は1~2本、約900~1000gに対し、水はその倍の2000ml、米ぬか1カップ、鷹の爪1本が適量です。
皮を付けたまま保管するとえぐみが強くなり、あく抜きが困難になるため、筍を手に入れたら迅速に処理しましょう。
材料 | 分量 |
---|---|
たけのこ(皮つき) | 1~2本:900~1000g |
水 | 2000ml |
米ぬか | 1カップ |
鷹の爪 | 1本 |
※筍2本に対し鷹の爪は1本が目安です。筍が2~3本の場合は鷹の爪を2本使用しましょう。
- 筍の皮を2~3枚剥く
- 根元と穂先を切り落とす
- 縦に約2cmの切り込みを入れる※筍に縦に切り込みを入れることであく抜きがしやすくなります。
- 鍋に筍、水2000ml、米ぬかと鷹の爪を入れる
- 中火で沸騰待ち
- 沸騰後に弱火に変える
- 1時間30分茹でる
- 竹串で柔らかさを試す※筍が柔らかければ火が通っている証拠です。
- 筍を水で洗う
- 水に浸し、冷蔵庫で保管する
上記の1~10が米ぬかと鷹の爪を使った筍のあく抜き方法です。完了後は水に浸し、煮たたけのこを冷蔵庫に保存します。あく抜き後は残したぬか汁で保存する場合は2日間冷蔵し、清潔な水で保存する場合は2日ごとに水を交換してください。もし筍が大きすぎて鍋に入らない場合は【3】の指示を無視し、縦半分にカットしてからあく抜きを行ってください。保管方法に迷った時は上記を参考にしてください。
では、次に米ぬかが手に入らない時の代替手法をご紹介しましょう。
米ぬか無用!重曹を活用した筍のアク抜き術
米ぬかが手元にない場合、食用の重曹を使った筍のアク抜きが有効です。重曹にはアクや渋みを除去する効果があり、これに唐辛子を加えることで効果が増すことが知られています。
材料 | 分量 |
---|---|
筍(皮がついた状態) | 1~2本(900~1000g) |
水 | 2000ml |
重曹(食用) | 小さじ2 |
唐辛子 | 1本 |
※水1000mlに対する食用重曹の目安は「小さじ1」となります。
- 筍の皮を2~3枚剥く。
- 筍の根元と穂先を切り落とす。
- 筍に縦に約2cmの切り込みを入れる。※筍に縦の切り込みを入れるとアク抜きがしやすくなります。
- 鍋に重曹、筍、2000mlの水を入れる。
- 中火で沸騰を待つ。
- 沸騰後、弱火にしてゆっくり加熱する。
- 1時間30分程度茹でる。
- 柔らかくなったか確かめるために竹串で刺してみる。
- 茹で上がった筍を水でよく洗う。
- 水に浸して冷蔵庫で保存する。
以上が食用の重曹と唐辛子を使った筍のアク抜き方法です。ただし、重曹を用いた方法は筍の色が茶色になることがあります。筍を美しい色合いで仕上げたい場合は、伝統的な米ぬかを使うのがおすすめです。
もし家に食用の重曹がない場合には、お米を研いだ後のとぎ汁を使った簡単なアク抜き方法もあります。
米不要!お米のとぎ汁で行う『タケノコのアク抜きの手順』
米ぬかや重曹が手元にない際、お米を研ぐ際のとぎ汁を活用してタケノコを茹でるとアクやえぐみを除く事ができます。この方法はトウガラシが無い時の代わりにもなり、最も簡便にタケノコのアク抜きをすることが可能です。
材料 | 分量 |
---|---|
タケノコ(皮付き) | 1~2本(900~1000g) |
お米のとぎ汁 | ごはん3合分(約2000ml) |
※とぎ汁とは、ご飯を炊く際に米を洗った時の水のことを指します。一般的に、ごはん3合を炊く時のお米を洗った水が鍋いっぱいの量になります。
- タケノコの皮を2~3枚剥く
- 根元と穂先を切り落とす
- 縦に約2cmの切り込みを入れる※タケノコを縦に切り込むことでアク抜きがしやすくなります。
- 鍋にお米のとぎ汁とタケノコ、2000mlの水を入れる
- 中火にかけ、沸騰を待つ
- 弱火:沸騰後に弱火にする
- 1時間30分茹でる
- 竹串をさして柔らかさを確認※竹串がスムーズに刺さるほど柔らかければ火が通っています。
- タケノコを冷水で洗う
- 水につけ、冷蔵庫で保管
以上が、お米のとぎ汁を使用したタケノコのアク抜き手順の全工程です。
生米を使った筍のアク抜き方法を完全ガイド
生米を活用することで筍のアク抜き作業をうまく短縮する方法があります。
ただしまずは、一緒に筍1本を生米大さじ4(60g)と共に30分間ゆでてから火を止め、その後3時間放置するのが基本です。
材料 | 分量 |
---|---|
筍(皮付き) | 1~2本(目安:900~1000g) |
水 | 2000ml |
生米 | 大さじ4(60g) |
- 筍の皮を2~3枚剥く
- 根元と穂先を切り落とす
- 縦に2cmほど切り目を入れる※筍に縦に2cm程の切り目を入れることでアク抜きがしやすくなります。
- 鍋に生米と筍、2000mlの水を入れる
- 中火で沸騰するまで待つ
- 強火にして30分茹でる
- 火を止める
- 蓋をして3時間待つ
上記の【1】から【8】までの手順が、生米を用いた筍のアク抜き方法です。
筍のアク抜きを行わないと何が起こるか
筍のアク抜きには、単に苦味を取り除いて食べやすくする目的だけではなく、含まれているシュウ酸の除去が求められています。アク抜きを怠ると、筍に含まれるシュウ酸が体内に取り込まれ、過剰な摂取は結石を引き起こすリスクを増加させます。結石は、カルシウムが尿中で結晶化してしまうことで生じ、これが尿路結石や尿管結石などの病状を誘発するのです。
アク抜きをせずに筍を食べたからといって、すぐに尿管結石や尿路結石になるわけではありませんが、アク抜きなしでシュウ酸を多く含む食品を過剰に摂取するのは推奨されません。
たけのこやその他の食品のアク抜きに米ぬかや食用重曹を使用するのは、これらに含まれるカルシウムがシュウ酸と結びついてシュウ酸カルシウムを形成し、最終的に尿管結石の原因となる物質を形成するのを防ぐためです。水だけで簡易的にアク抜きを試みても、シュウ酸は十分に抜け出ない可能性があるので注意が必要です。一方、米ぬかに含まれるカルシウムやアルカリ性成分は、シュウ酸および苦味の元であるチロシンを容易に取り除く効果があります。
今回は、基本のたけのこのアク抜き方法から、手元に米ぬかや鷹の爪がない場合の代替方法に至るまで、幅広く紹介しました。筍のアク抜きでお困りの時や、なぜアク抜きが必要なのかを知りたい時など、役立つ情報が満載ですので、参考にしてみてください。